
この連載では、海外の研究や論文、各種調査をもとに、企業卓上カレンダーの価値を新しい視点から読み解いていきます。研究結果をご紹介するとともに、20年以上企業卓上カレンダーに携わってきた私たちの経験や考察も交えながら、その可能性を探ります。
【vol.9】
AI時代に、紙のカレンダーは必要なのでしょうか。
〜「競争」ではなく「補完」という視点〜
AIが予定を提案する。
会議の日程を自動で調整する。
リマインダーが予定を忘れないように知らせてくれる。
そんな時代になりました。
こうした変化を前にすると、「紙のカレンダーの役割は終わるのではないか」と考える人もいるかもしれません。
しかし、私たちは少し違う見方をしています。
認知科学やヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の研究では、紙とデジタルは「どちらが優れているか」という関係ではなく、それぞれ異なる役割を持つ道具として捉えられています。
デジタルは、検索や共有、更新を得意とします。
一方、紙は、一覧性や空間的な把握、全体を俯瞰することを得意とします。
つまり、それぞれに異なる強みがあるのです。
だからこそ、「紙かデジタルか」という問いではなく、「どう組み合わせるか」という視点が重要になっています。
【参考文献・出典】
<関連分野>
Human-Computer Interaction(HCI)
認知科学(Cognitive Science)
External Cognition(外部認知)
<参考文献>
Norman, D. A. Things That Make Us Smart: Defending Human Attributes in the Age of the Machine.
Rogers, Y. HCI Theory: Classical, Modern, and Contemporary.
この研究を読んで、私たちが最初に感じたこと
私たちが印象に残ったのは、「便利になること」と「考えやすくなること」は、必ずしも同じではないということでした。
AIは、多くの情報を瞬時に処理し、最適な候補を提示してくれます。
一方で、人は仕事全体の流れを眺めたり、予定同士の関係を考えたりするとき、一覧性のある紙のカレンダーに助けられる場面があります。
予定を「知る」ことと、予定を「考える」こと。
似ているようで、その役割は少し違うのです。
私たちの仮説
ここからは、研究で証明されたことではありません。
20年以上企業卓上カレンダーに携わってきた私たちが、現場で感じてきた一つの仮説です。
企業卓上カレンダーは、AIと競争する商品ではありません。
AIでは補いきれない思考を支える商品です。
AIは、予定を教えてくれます。
企業卓上カレンダーは、予定を見渡すことができます。
AIは、最適な日程を提案してくれます。
企業卓上カレンダーは、「この週は少し余裕を持とう」「ここは準備期間を長めに取ろう」といった、自分自身の判断を助けてくれます。
私たちは、これからの企業卓上カレンダーは、「情報管理の道具」ではなく、思考を整理する道具として、その価値を高めていくのではないかと考えています。
20年以上、お客様と向き合ってきて分かったこと
デジタルツールが普及した今でも、「やっぱり卓上カレンダーは置いておきたい」という声をいただくことがあります。
その理由をお聞きすると、「予定が見やすいから」「全体を把握しやすいから」というお話だけではありません。
「デスクにあると安心する。」
「考えを整理しやすい。」
そんな言葉をいただくことも少なくありません。
私たちは、その声に触れるたび、「使い続けられている理由」は機能だけではないと感じています。
企業卓上カレンダーから見えること
AIは、私たちの仕事をより効率的にしてくれるでしょう。
デジタルツールは、情報共有や更新を、これまで以上にスムーズにしてくれるでしょう。
しかし、効率が上がるほど、人は「考える時間」を意識的に持たなければならなくなるのかもしれません。
企業卓上カレンダーは、情報を増やす商品ではありません。
情報を整理し、時間の流れを見渡し、自分自身の判断を支える商品です。
私たちは、企業卓上カレンダーとは、AI時代だからこそ価値を発揮する「思考のパートナー」なのだと考えています。
【参考文献・出典】
Norman, D. A. Things That Make Us Smart: Defending Human Attributes in the Age of the Machine.
Rogers, Y. HCI Theory: Classical, Modern, and Contemporary.
Human-Computer Interaction および認知科学に関する研究
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