
この連載では、海外の研究や論文、各種調査をもとに、企業卓上カレンダーの価値を新しい視点から読み解いていきます。研究結果をご紹介するとともに、20年以上企業卓上カレンダーに携わってきた私たちの経験や考察も交えながら、その可能性を探ります。
【vol.2】
書くことは、記録することではないのかもしれません。
〜手書きが脳に与える影響を考える〜
明日の午後2時に会議があります。
この予定をスマートフォンに入力してみてください。
次に、同じ予定を紙に書いてみてください。
どちらも同じ予定です。
でも、不思議なことに、「書く」という行為そのものに意味があるのではないか
そんな問いを投げかける研究があります。
2014年、アメリカの研究者Pam Mueller氏とDaniel Oppenheimer氏は、講義中のノートの取り方について研究を行いました。
その結果、パソコンで入力した学生は多くの情報を書き残していましたが、内容をそのまま書き写す傾向が強くなりました。
一方、手書きでノートを取った学生は、情報を自分なりに整理しながら書く傾向があり、概念を理解する問題でより良い成績を示しました。研究者は、手書きには「情報を自分の言葉で再構成する」という認知的な処理が促される可能性があると考察しています。
その後、この研究は大きな注目を集め、多くの追試も行われました。
興味深いことに、2019年の追試では、常に手書きが優れているとは言い切れず、学習方法や復習の有無などによって結果は変わる可能性が示されています。さらに、メタ分析でも「手書きに有利な傾向はあるものの、その効果は限定的であり、状況によって異なる」と報告されています。
つまり、「紙だから優れている」という単純な話ではありません。
大切なのは、書くことで何が起きているのかという点です。
手書きは、入力ではなく「考えながら書く」という時間を生み出します。
その時間が、理解や記憶、判断に影響している可能性があるのです。
【参考文献・出典】
<論文①>
Pam A. Mueller, Daniel M. Oppenheimer (2014)
The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking
Psychological Science
<論文②>
Kayla Morehead, John Dunlosky, Katherine A. Rawson (2019)
How Much Mightier Is the Pen than the Keyboard for Note-Taking? A Replication and Extension of Mueller and Oppenheimer (2014)
Educational Psychology Review
この研究を読んで、私たちが最初に感じたこと
私たちが印象に残ったのは、「手書きの方が優れている」という結論ではありませんでした。
むしろ、研究者たちがその後も追試を重ね、「どんな条件なら効果が生まれるのか」を丁寧に検証し続けていることです。
研究とは、白黒をつけるものではなく、少しずつ理解を深めていく営みなのだと感じました。
そして、その積み重ねから見えてきた共通点があります。
それは、「書く」という行為には、人に立ち止まって考える時間を与える可能性があるということです。
私たちの仮説
ここからは、研究で証明されたことではありません。
20年以上企業卓上カレンダーに携わってきた私たちが、現場で感じてきた一つの仮説です。
企業卓上カレンダーに予定を書き込む時間は、単に予定を残すための時間ではありません。
仕事を整理し、優先順位を考え、一日の流れを組み立てる時間でもあります。
私たちは、この「考える時間」そのものが、企業卓上カレンダーの価値ではないかと考えています。
便利な時代だからこそ、少し立ち止まって考える時間は、以前よりも貴重になっているのかもしれません。
企業卓上カレンダーから見えること
企業卓上カレンダーは、予定を書き込むための余白があります。
その余白は、単なるメモ欄ではありません。
考える余白です。
予定を追加する。
予定を消す。
矢印を書き、順番を入れ替える。
そうした小さな手の動きは、頭の中で仕事を整理する時間にもなっています。
私たちは、企業卓上カレンダーとは「予定を書く商品」ではなく、「仕事を考える時間を届ける商品」でもあると考えています。
【参考文献・出典】
Mueller, P. A., & Oppenheimer, D. M. (2014). The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking.
Morehead, K., Dunlosky, J., & Rawson, K. A. (2019). How Much Mightier Is the Pen than the Keyboard for Note-Taking? A Replication and Extension of Mueller and Oppenheimer (2014).
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